相場が決まる
読み方:そうばがきまる
「相場が決まる」の意味
ある物事についての評価や見方が、世間一般でそのように定まることを意味します。
「こういう人はこういうものだ」「この場合はこうなるものだ」と広く考えられていることについて使われます。
個人の判断というより、世間で通用している見方を示す表現です。
「相場が決まる」の語源・由来
「相場」は、もともと市場で取引される品物の値段を指す言葉です。
語源は、中世に売買の仲立ちをした商人「すあい」に関係すると考えられています。
「すあい」が集まって値段を取り決める場所を「すあい場」と呼び、それが「あい場」へ変化し、「相場」の字が当てられて「そうば」と読まれるようになったとされています。
江戸時代には「相場」が、値段だけでなく、世間一般に定まっている人や物事の値打ちや見当を指す意味でも使われています。
「相場が決まる」では、この世間的な評価を表す意味の「相場」が使われています。
「相場が決まる」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜と相場が決まっている」
「と」の前に、世間で一般的だと考えられている内容を置きます。「職人は頑固だと相場が決まっている」「最後は主人公が勝つと相場が決まっている」などの形です。 - 「〜なら…と相場が決まっている」
「〜なら」で人や物事の種類を示し、その後ろに一般的な評価を続けます。「名人なら気難しいと相場が決まっている」「人気店なら行列ができると相場が決まっている」などと使います。 - 「〜と相場が決まる」
「決まっている」ではなく「決まる」とすると、評価がそのように定まることを述べる形になります。「一度失敗すれば未熟者と相場が決まる」「この業界では経験者と相場が決まる」などの形です。
「相場が決まる」の例文
- 昔から、この町では頑固な職人ほど腕がいいと相場が決まっている。
- 推理小説では、いちばん怪しく見える人物は犯人ではないと相場が決まっているが、この作品はその予想を裏切った。
- 一度でも約束を破れば、周囲から信用できない人物だと相場が決まってしまうこともある。
「相場が決まる」の類似表現
通り相場(とおりそうば)
「通り相場」は、世間一般に通用している値段のほか、一般にそういうものだといわれている評価も指します。
「〜というのが通り相場だ」のように使うため、「相場が決まる」と意味がかなり近い表現です。
「相場が決まる」は「〜と相場が決まっている」という述語の形で使いやすいのに対し、「通り相場」は「それが通り相場だ」のように名詞として使います。
定評がある(ていひょうがある)
「定評がある」は、広く世間に認められていて、簡単には変わらない評判や評価について使います。
「接客の丁寧さに定評がある」「名医として定評がある」など、特定の人や物の評判を述べる使い方が定番です。
「相場が決まる」は「職人は頑固だと相場が決まっている」のように、ある種類の人や物事について世間で一般化された見方を述べる場合にも使えます。
「相場が決まる」の古い用例
石川啄木の『雲は天才である』には、「相場が極って居る」という言い回しが見られます。
この作品は1906年(明治39年)7月に執筆され、同年11月に補稿されたもので、1919年(大正8年)に初めて発表されました。
作中では、釣りの名人になるような人物には主義も主張もないものだ、という見方について「相場が極って居る」と述べています。
現在の「〜と相場が決まっている」とほぼ同じ使い方です。
ここでは「きまる」に「決まる」ではなく「極る」の表記が使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「相場が決まる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「相場」「相場が決まる」項。
- 石川啄木『雲は天才である』、『石川啄木全集 第三巻 小説』筑摩書房、1978年。
