多かれ少なかれ
読み方:おおかれすくなかれ
「多かれ少なかれ」の意味
数量や程度に違いはあっても、何らかの形では当てはまるという意味です。
「全くない人もいる」というより、程度の差を認めながら共通することを述べるときに使います。
「多かれ少なかれ」の語源・由来
「多かれ」と「少なかれ」を並べた表現です。
「多かれ」は「多し」、「少なかれ」は「少なし」の命令形にあたり、二つを組み合わせて「多くても少なくても」という意味を表す形になりました。
ここでの「かれ」は、相手に多くせよ、少なくせよと命令するものではありません。
「遅かれ早かれ」と同じく、反対の意味を持つ形容詞を「〜かれ〜かれ」と並べる言い方の一つです。
「多かれ少なかれ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「多かれ少なかれ+〜」
文の前半に置き、その後に程度の差が生じる事柄を続けます。「多かれ少なかれ影響を受ける」「多かれ少なかれ関係している」などの形です。 - 「〜は多かれ少なかれ+〜」
人や物事を話題として示したあとに続けます。「人は多かれ少なかれ失敗する」「作品は多かれ少なかれ時代を反映する」などと使います。 - 「誰でも/どの〜も、多かれ少なかれ+〜」
多くの人や物に共通する事柄について、程度には個人差や違いがあることを示す形です。「誰でも多かれ少なかれ悩みがある」「どの地域も多かれ少なかれ影響を受ける」などと使います。
「多かれ少なかれ」の例文
- 新しい環境に移れば、誰でも多かれ少なかれ緊張するものです。
- この地域の商店は、昨年の物価上昇によって多かれ少なかれ影響を受けました。
- 人の考え方には、それまでに出会った人や読んだ本が多かれ少なかれ反映されているでしょう。
「多かれ少なかれ」の類似表現
大なり小なり(だいなりしょうなり)
意味は非常に近く、多くの場面で言い換えられます。
「大なり小なり人には欠点がある」のように、程度の大小を問題にせず共通する事柄を述べる表現です。
多少なりとも(たしょうなりとも)
「少しだけでも」「いくらかでも」という意味で、わずかな程度を含めることに重きを置く表現です。
「多少なりとも役に立ちたい」のように使い、「多いか少ないかを問わない」という「多かれ少なかれ」とは使い方が異なります。
「多かれ少なかれ」の古い用例
有島武郎の『惜みなく愛は奪う』には、「多かれ少かれ外界の要求の犠牲となる」という言い回しが使われています。
この作品が初めて世に出たのは、1920年(大正9年)の『有島武郎著作集 第一輯』です。
ここでは「多かれ少かれ」が「程度には差があっても」という意味で文中を修飾しており、大正時代には現在とほぼ同じ使われ方がされています。
「少なかれ」に当たる部分は「少かれ」と表記されています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「多かれ少なかれ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 有島武郎『惜みなく愛は奪う』、初出『有島武郎著作集 第一輯』叢文閣、1920年。
- 青空文庫「惜みなく愛は奪う」。
