抜け目がない
読み方:ぬけめがない
「抜け目がない」の意味
注意が行き届いていて、手ぬかりがないことをいいます。
特に、自分にとって有利な機会を見逃さず、うまく立ち回る人について使うと、ずる賢さやちゃっかりした印象を含むことがあります。
「抜け目がない」の語源・由来
「抜け目」は、もともと抜け落ちた所や欠けた部分を指す言葉です。
そこから、物事を進めるうえでの「手ぬかり」「手落ち」「注意の足りないところ」という意味でも使われるようになりました。
その「抜け目」が「ない」とすることで、手落ちするところがないことを表す形になっています。
「抜け目がない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は抜け目がない」
人や組織などを主語にして、その行動や立ち回りについて述べる形です。「彼は抜け目がない」「あの会社は抜け目がない」などと使います。 - 「〜にも抜け目がない」
ある分野についても手を抜かず、必要なことを押さえていると述べる形です。「宣伝にも抜け目がない」「情報収集にも抜け目がない」などと使います。 - 「抜け目なく〜する」
「抜け目なく」と副詞の形にして、後ろに具体的な行動を続けます。「抜け目なく準備する」「抜け目なく立ち回る」などの形です。 - 「抜け目のない〜」
人や行動などを修飾するときに使います。「抜け目のない人物」「抜け目のない交渉」などと続けます。
「抜け目がない」の例文
- 彼は会議が終わるとすぐ責任者に名刺を渡しており、こういうところは本当に抜け目がない。
- 新しい店は商品だけでなく、SNSでの宣伝にも抜け目がなく、開店前から多くの客を集めていた。
- 姉は旅行の予定を立てるとき、割引情報まで調べている抜け目のない人だ。
「抜け目がない」の類似表現
如才がない(じょさいがない)
気がきいていて手落ちがなく、応対などをうまくこなすことをいいます。
「如才がない応対」のように、人付き合いや気配りについて使いやすい表現です。
「抜け目がない」のように、自分の利益につながる機会を逃さないという含みは必ずしもありません。
ちゃっかり(ちゃっかり)
自分の利益になるように、抜け目なく振る舞う様子を表します。
「ちゃっかり席を確保する」のように使い、親しみのある会話でもよく用いられます。
「抜け目がない」より、ずうずうしさや自分だけ得をする様子を軽くからかう響きが出やすい言葉です。
「抜け目がない」の古い用例
1752年の談義本『教訓雑長持』には、「ぬけ目のない智恵ぞかし」という記述があります。
「抜け目」を手ぬかりや注意の足りないところという意味で用い、それが「ない」とする形が18世紀半ばには使われていたことが分かります。
近代では、芥川龍之介『妖婆』(1919年)に「抜け目なくあの婆が網を張っている」という形があり、「抜け目なく」が「どんな風に行動しているか(網を張っている)」を表す言葉として使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「抜け目がない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「抜目」項。
- 芥川龍之介『妖婆』、1919年。
