願ったり叶ったり
読み方:ねがったりかなったり
「願ったり叶ったり」の意味
自分の希望どおりに物事が運ぶことです。
条件や成り行きが非常に都合よく、すっかり望みどおりになったときに使います。
「願ったり叶ったり」の語源・由来
「願ったり」と「叶ったり」を重ねた表現です。
ここでの「たり」は、「行ったり来たり」のように動作を並べる現代の「たり」とは異なり、完了を表す古い助動詞「たり」の使われ方が残ったものです。
乾亮一は1942年の著書で、「願ったり叶ったり」を「普段使われているけれど、実は古い言葉のルールが残っている決まり文句」の一つとして紹介しています。
「願ったり叶ったり」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「願ったり叶ったりだ/だった」
条件や結果について、そのまま述語として使います。「その提案は願ったり叶ったりだ」「思わぬ援助まで得られて願ったり叶ったりだった」などの形です。 - 「願ったり叶ったりの〜」
後ろに「条件」「展開」「話」などの名詞を続けます。「願ったり叶ったりの条件」「願ったり叶ったりの展開」などと使います。 - 「〜なら願ったり叶ったりだ」
「なら」の前に、自分にとって望ましい条件を置きます。「週三日の勤務なら願ったり叶ったりだ」「送ってもらえるなら願ったり叶ったりだ」などの形です。
「願ったり叶ったり」の例文
- 希望していた部署への異動に加えて通勤時間まで短くなるとは、願ったり叶ったりだ。
- 地域の大会に出場できるうえ、憧れの選手と対戦できるなんて、私たちにとっては願ったり叶ったりの展開だった。
- 「午後からなら手伝えるよ」と友人に言われ、ちょうど人手が足りなかった私は願ったり叶ったりだと思った。
「願ったり叶ったり」の類似表現
願ってもない(ねがってもない)
思いがけず理想的な機会や条件が得られたときに使います。
「願ってもない好機」「願ってもない話」のように、名詞を修飾する形でもよく使われます。
「願ったり叶ったり」は、「願ったり叶ったりだ」「願ったり叶ったりの条件」のような形を取ることができます。
渡りに船(わたりにふね)
何かを必要としているときに、ちょうど都合よく助けや手段が現れることのたとえです。
必要なものがよいタイミングで現れるという場面に特に適しています。
「願ったり叶ったり」の古い用例
雑俳『川傍柳』四(1780~1783年)には、「ねかふたり叶ふたり聟と伊勢出る」という記述があります。
現在の「願ったり叶ったり」とは表記や言い回しに違いがあり、「ねかふたり」「叶ふたり」と記されています。
18世紀後半には、すでに「願う」と「叶う」を重ねた形が使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「願ったり叶ったり」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「願ったり叶ったり」項。
- 乾亮一「古語と慣用句」『英文学研究』第22巻第1号、1942年。
