偶然の一致
読み方:ぐうぜんのいっち
「偶然の一致」の意味
互いに関係がないと思われる二つ以上の物事が、たまたま同じになったり重なったりすることを意味します。
「偶然」は、予期しないことが起こることや、物事の間に明らかな因果関係がないことを表す言葉です。
服装や名前、考え、出来事、時期など、意図して合わせたわけではないのに一致した場合に広く使えます。
「偶然の一致」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は偶然の一致だ/だった」
一致した事柄を「〜」に置いて、それが意図されたものではないと述べる形です。「二人の服装が同じなのは偶然の一致だ」「同じ日に引っ越したのは偶然の一致だった」などと使います。 - 「偶然の一致で〜」
偶然に同じことが起こったのをきっかけとして、その後の出来事を続ける形です。「偶然の一致で話が弾む」「偶然の一致で親しくなる」などと使います。 - 「単なる偶然の一致」
特別な理由や意図はないことを強調するときに使います。「単なる偶然の一致にすぎない」「単なる偶然の一致とは思えない」などの形があります。 - 「何という偶然の一致だ」
思いがけない一致への驚きを表す言い方です。「何という偶然の一致だろう」「何という偶然の一致だ」などと使います。
「偶然の一致」の例文
- 初対面の二人が同じ町の出身だったのは、まったくの偶然の一致だった。
- 別々に考えた企画の題名が同じになったが、これは偶然の一致にすぎない。
- 旅行先も宿泊日も同じだと知り、これほどの偶然の一致があるものかと驚いた。
「偶然の一致」の類似表現
暗合(あんごう)
「暗合」は、思いがけず物事が一致することを表し、「偶然の一致」と意味がほぼ同じです。
「考えが暗合する」「二つの説が暗合する」のように「暗合する」という動詞の形でも使えます。
「偶然の一致」より書面での使用に適した表現です。
期せずして(きせずして)
「期せずして」は、前もって予想していなかったことが偶然に起こるさまを表します。
「期せずして意見が一致した」「期せずして同じ場所に集まった」のように、副詞的に後ろの動作や出来事を修飾します。
「偶然の一致」が一致そのものを名詞として表すのに対し、「期せずして」は出来事の起こり方を表す言い方です。
「偶然の一致」の古い用例
平林初之輔の「オパール色の手紙――ある女の日記――」は、『文学時代』1929年9月号に発表された作品です。
作中には、探していた本を取り出したときに手紙が落ちてきた場面で、「何という偶然の一致だろう。」とあります。
現在と同じ「偶然の一致」という言い回しで、予期しなかった二つの出来事が重なったことへの驚きを表しています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「偶然の一致」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 平林初之輔「オパール色の手紙――ある女の日記――」『文学時代』一巻五号、1929年9月。
