手が上がる
読み方:てがあがる
「手が上がる」の意味
技量や腕前が上達することを意味します。
芸事や料理などの技能のほか、字が上手になることにも使われます。
酒の話では、以前より多く酒を飲むようになる、酒量が増えるという別の意味があります。
「手が上がる」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の手が上がる」
「〜」には、上達した技能や分野を表す言葉が入ります。「料理の手が上がる」「書道の手が上がる」などの形です。 - 「手が上がってくる/手が上がった」
練習や経験を重ねて、以前より技能が向上したことを述べる形です。「だいぶ手が上がってきた」「以前より手が上がった」などと使います。 - 「手が上がる」〔酒量について〕
酒の話題では、飲む量が増えたことを表します。「最近すっかり手が上がった」「このところ手が上がっている」などの形です。
「手が上がる」の例文
- 祖父に包丁の扱い方を教わってから、妹はずいぶん料理の手が上がった。
- 毎日筆を持って練習するうちに手が上がり、今年は書道展に作品を出すことになった。
- 接待で酒を飲む機会が増え、以前より手が上がったらしい。
「手が上がる」の類似表現
腕が上がる(うでがあがる)
技量が上達する意味では「手が上がる」とほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「料理の腕が上がる」「ゴルフの腕が上がる」など、身につけた技能について広く使えます。
「手が上がる」には、字が上手になる意味や、酒量が増える意味もあります。
「手が上がる」の古い用例
1603~1604年に刊行された『日葡辞書』には、「手が上がる」が字が上手になる、また読み書きの力がつく意味で記録されています。
17世紀初頭には、書字や読み書きの能力が向上する意味で用いられていました。
徳田秋声の小説『あらくれ』(1915年)には、「手があがって来た」という記述があり、ここでは字に限らず、仕事の技量が上達する意味で使われています。
20世紀初頭には現在にも通じる広い技能上達の言い回しが見られます。
江戸時代には現在とは異なる意味の言い回しもあり、浄瑠璃『心中二つ腹帯』(1722年)では方法がなくなること、浮世草子『傾城歌三味線』(1732年)では仕事を失うことを「手が上がる」と表しています。
しかしこれらの意味は、現代ではほとんど使われていません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「手が上がる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「手が上がる」項。
