雀の涙
読み方:すずめのなみだ
「雀の涙」の意味
量や程度がごくわずかであることのたとえです。
金銭について使われることが多く、給料、年金、利益、予算などが期待した額よりかなり少ない場合によく用いられます。
金銭以外にも、食べ物や水、残量など、数量として捉えられるものに広く使えます。
少ないことを大げさに表す言い方なので、物足りなさや不満を含むことがあります。
「雀の涙」の語源・由来
小さな鳥である雀が流す涙なら、ほんのわずかな量だろうという想像から生まれたたとえです。
雀そのものが小さいことと、「涙」という一滴ほどのものを組み合わせて、きわめて少ない量を表しています。
特定の故事や出来事から生まれた言葉ではなく、雀の小ささを利用したたとえです。
「雀の涙」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「雀の涙ほどの〜」
後ろに、金額や量を表す名詞を続けます。「雀の涙ほどの給料」「雀の涙ほどの予算」などの形です。 - 「雀の涙ほどしか〜ない」
「しか〜ない」と組み合わせ、ごく少量しかないことを表します。「雀の涙ほどしか残っていない」「雀の涙ほどしか増えない」などと使います。 - 「〜は雀の涙だ」
少ないものを主語にして、その量を直接評する形です。「今月の利益は雀の涙だ」「支給額は雀の涙だった」などと使います。 - 「雀の涙ぐらい〜」
数量や変化がわずかであることを表します。「雀の涙ぐらい増える」「雀の涙ぐらい残っている」などの形です。1959年の文献にも「雀の涙ぐらい」という形が見られます。
「雀の涙」の例文
- 臨時収入を期待していたが、実際に受け取った手当は雀の涙ほどの額だった。
- 長い日照りが続き、貯水池には雀の涙ほどしか水が残っていない。
- 売り上げは前年を上回ったものの、経費を差し引けば利益は雀の涙だった。
「雀の涙」の類似表現
蚊の涙(かのなみだ)
「蚊の涙」も、きわめて量が少ないことのたとえで、「雀の涙」とほとんど同じ意味です。
「蚊の涙」は尾崎紅葉『多情多恨』(1896年)にも記述があり、「雀の涙」より古い文献例が辞書に収録されています。
現代では「雀の涙」のほうが広く知られた言い方です。
爪の垢ほど(つめのあかほど)
爪の先にたまる垢ほどしかないというたとえで、ごくわずかな量を表します。
「爪の垢ほどもない」「爪の垢ほどしかない」のように否定表現と結びつきやすいのに対し、「雀の涙」は、「雀の涙ほどの給料」のように名詞を直接修飾する形でもよく使われます。
「雀の涙」の古い用例
三浦朱門の小説『セルロイドの塔』(1959年)には、安月給について「雀の涙ぐらい上るらしいわ」という記述があります。
金額そのものではなく、給料が上がる程度をごくわずかだと表しており、この時期には「雀の涙ぐらい」という形で現在と同じ比喩的な意味に使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「雀の涙」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「雀の涙」項。
- 北村孝一編『小学館 ことわざを知る辞典』小学館、2018年、「雀の涙」項。
