ぐうの音も出ない
読み方:ぐうのねもでない
「ぐうの音も出ない」の意味
相手に非や弱点を指摘されたり、言い込められたりして、一言も反論や弁解ができないことを意味します。
単に驚いて言葉が出ない場合ではなく、相手の言うことが正しかったり、自分に反論する余地がなかったりする場合に使う表現です。
「ぐうの音も出ない」の語源・由来
「ぐう」は、呼吸が詰まったり、物が喉につかえたりして苦しいときに発する声を表す言葉です。
苦しい状況に追い込まれたときの声にも使われます。
「ぐうの音も出ない」は、その「ぐう」という声さえ出せないという形の表現です。
「ぐうの音も出ない」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜にぐうの音も出ない」
「〜に」には、正論、指摘、反論できない意見などが入ります。「正論にぐうの音も出ない」「的確な指摘にぐうの音も出ない」などの形です。 - 「〜と言われて/〜と指摘されて、ぐうの音も出ない」
反論できなくなったきっかけを前に置く形です。「矛盾を指摘されて、ぐうの音も出ない」「それは言い訳だと言われて、ぐうの音も出ない」などと使います。 - 「ぐうの音も出なかった」
過去の出来事を述べるときによく使う形です。「彼はぐうの音も出なかった」「問い詰められて、ぐうの音も出なかった」などと続けます。明治期の文学作品にもこの形が見られます。
「ぐうの音も出ない」の例文
- 会議で数字の矛盾を次々と指摘され、担当者はぐうの音も出なかった。
- 「自分で決めた約束を守っていないよ」と弟に言われ、私はぐうの音も出ない。
- 相手側は十分な資料をそろえており、こちらはぐうの音も出ないほど言い込められてしまった。
「ぐうの音も出ない」の類似表現
一言もない(いちごんもない)
意味はよく似ており、弁解や反論ができない場合には言い換えられます。
「一言もない」には、文字どおり「一言も言わない」という意味もあります。
「ぐうの音も出ない」は、相手に言い込められて反論できない場合に使うのが基本です。
返す言葉がない(かえすことばがない)
自分の失敗や誤りを指摘され、反論や弁解ができないという意味で、使われ方には大きく重なる部分があります。
「返す言葉がない」は意味をそのまま表した言い方で、「返す言葉もありません」のように謝罪や反省の言葉としても使いやすい表現です。
「ぐうの音も出ない」には、相手の指摘や議論にすっかり押された感じがより強く出ます。
「ぐうの音も出ない」の古い用例
1896年(明治29年)の尾崎紅葉『多情多恨』には、「犇々(びしびし)言捲られて、ぐうの音も出なかった」とあります。
「言捲られて」に続いて「ぐうの音も出なかった」と使われており、この時期にはすでに現在とほぼ同じ言い回しで、相手から厳しく言われて反論できないことを表していました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「ぐうの音も出ない」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「ぐう」「ぐうの音も出ない」項。
