烙印を押される
読み方:らくいんをおされる
「烙印を押される」の意味
ぬぐい去りにくい悪い評判や汚名を受け、周囲からそういう人物・物事だと決めつけられることです。
単に悪く評価されるだけでなく、その評価が本人につきまとい、簡単には消えないという強い否定的な意味を持ちます。
「烙印を押される」の語源・由来
「烙印」は、鉄製の印を熱して物に押しつけること、またはそれによって残った印をいいます。
人の身体に刑罰として押す焼き印にも用いられました。
焼きつけた印は簡単には消せないことから、消し去りにくい不名誉な評価を焼き印になぞらえ、「烙印を押される」という比喩的な表現が生まれました。
「烙印を押される」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の烙印を押される」
「〜」には、人に与えられる悪い評価や呼び名が入ります。「裏切り者の烙印を押される」「無能の烙印を押された」などの形です。 - 「〜という烙印を押される」
どのような人物・物事だと決めつけられたのかを、言葉として具体的に示す形です。「嘘つきという烙印を押される」「危険人物という烙印を押された」などと使います。 - 「〜として烙印を押される」
「〜として」の部分に、周囲から与えられた立場や分類を置きます。「異端者として烙印を押される」「問題児として烙印を押された」などの形です。
「烙印を押される」の例文
- 新人時代の失敗だけを理由に、彼は「仕事ができない」という烙印を押されてしまった。
- 当時、その考えを公にした人は異端者の烙印を押されることもあった。
- 一度問題児として烙印を押された生徒が、周囲の見方を変えるまでには長い時間がかかった。
「烙印を押される」の類似表現
レッテルを貼られる(れってるをはられる)
一方的、断定的な評価を付けられる場合に使う表現で、「烙印を押される」と使われ方がよく似ています。
「レッテルを貼られる」は、人や物事をある種類に決めつけることを広くいえます。
「烙印を押される」は、汚名や悪評が消しにくい形で残るという意味合いがより強い表現です。
極印を押される(ごくいんをおされる)
意味は非常に近く、多くの場面で言い換えられます。
「極印を押す」には、そういうものだと決めつけるという意味があり、「卑怯者の極印を押される」などと使います。
「烙印を押される」の古い用例
エマ・ゴールドマン著、伊藤野枝訳「子供の保護」は、『労働運動(第三次)』第七号に1922年(大正11年)9月10日付で発表されました。
そこには、「泥棒と云ふ烙印を押されて」という表現が見られます。
現在の「泥棒という烙印を押されて」に当たる言い回しで、すでにこの時期には、人を否定的な評価で決めつける比喩として使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「烙印を押される」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「烙印」項。
- 青空文庫、エマ・ゴールドマン著・伊藤野枝訳「子供の保護」(初出『労働運動(第三次)』第七号、1922年9月10日。底本『定本 伊藤野枝全集 第四巻 翻訳』學藝書林、2000年)。
