是が非でも
読み方:ぜがひでも
「是が非でも」の意味
何が何でも、どうしてもという強い意志や必要を表す言葉です。
「正しいか正しくないか」といった事情にかかわらず、目的を遂げようとするほどの強さを含みます。
現代では、実際に善悪を無視するという意味に限らず、「どうしても実現したい」「必ずやり遂げる」という決意を強調する表現として使われます。
「是が非でも」の語源・由来
「是」は道理にかなっていること、正しいことをいい、「非」は道理に合わないこと、正しくないことをいいます。
「是非」という言葉も、もともとは「是と非」、すなわち正しいことと正しくないこと、善悪や正邪を指します。
「是が非でも」は、そうした「是非や善悪を問わない」という考え方から、「どんな事情があっても」「何が何でも」という意味で使われるようになった表現です。
「是が非でも」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「是が非でも〜したい」
話し手や人物の強い希望・決意を表す形です。「是が非でも勝ちたい」「是が非でも手に入れたい」などと使います。 - 「是が非でも〜する」
ある行動を必ず実行するという決意を示します。「是が非でも成功させる」「是が非でも間に合わせる」などの形です。 - 「是が非でも〜しなければならない」
何としても実行する必要があることを強く示す形です。「是が非でも守らなければならない」「是が非でも完成させなければならない」などと使います。
「是が非でも」の例文
- 昨年は決勝で敗れたので、今年こそ是が非でも優勝したい。
- 新製品の発売日に影響が出ないよう、この問題は是が非でも今週中に解決するつもりだ。
- 恩師と交わした約束を守るため、彼は是が非でも作品を完成させなければならないと考えていた。
「是が非でも」の類似表現
何が何でも(なにがなんでも)
意味はかなり近く、多くの場面で言い換えられます。
「何が何でも」は日常会話でも使いやすく、話し手の決意を感情的に強く打ち出すことがあり、「是が非でも」はそれに比べるとやや硬い言い方です。
是非とも(ぜひとも)
「是非とも」も強い希望や意志を表しますが、依頼したり勧誘する時にも使いやすい表現です。
「是非ともご参加ください」は自然な依頼ですが、「是が非でもご参加ください」とすると、相手の事情を問わず参加を求めるような非常に強い響きになります。
「是が非でも」の古い用例
1854年の歌舞伎『吾嬬下五十三駅(天日坊)』には、「思ひ込んだる男の一心、是が非でも女房にせねばならぬ」という記述があります。
この時点ですでに、「どうしても女房にしなければならない」という強い意志を表す、現代とほぼ同じ使われ方がされています。
『精選版 日本国語大辞典』では、この記述が「是が非でも」の初めて世に出た例として挙げられています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「是が非でも」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「是が非でも」「是」「非」「是非」「何が何でも」「是非共」項。
