読み方:さんかくかんけい

「三角関係」の意味

三角関係とは、三人の間にできた複雑な恋愛関係をいう言葉です。

広くは三つのものの間の関係も指しますが、日常では特に恋愛について使われます。

「三角関係」の語源・由来

恋愛語としての「三角関係」は、中国古典に由来する表現ではなく、1910年代後半の日本で近代的な訳語として成立した可能性が高いと考えられています。

成立の背景には、イプセンの戯曲『ヘッダ・ガブラー』の翻訳があります。

1907年の日本語訳では、三人をめぐる関係に「三角同盟」という語が当てられていました。

1918年刊行の坪内士行訳『イプセン傑作集 ヘッダ・ガブラー』では、島村民蔵による「緒言」に「三角関係」が使われています。

原作やドイツ語訳にあった「三角の関係」にあたる表現から訳された可能性が指摘されていますが、誰か一人が「三角関係」を造語したと断定できる資料はありません。

1920年以降には小説や恋愛論などで使用が増え、1920年代後半から1930年代初めにかけて日本語の恋愛語として定着したとする研究があります。

「三角関係」の使い方

次のような形で使われます。

  • 「三角関係になる」
    三人の関係がそのような状態になったことを述べます。「いつの間にか三角関係になる」などと使います。
  • 「三角関係に陥る」
    望んでいなかった複雑な関係に入り込んだ場面などで使います。
  • 「三角関係を描く」
    小説、漫画、映画、ドラマなどの内容を説明するときに使います。
  • 「三角関係を解消する」
    続いていた三人の関係に区切りをつける場合に使います。

「三角関係」の例文

  • 彼は親しい友人と同じ人を好きになり、気づけば三角関係になっていた。
  • その小説は、三人それぞれの視点から三角関係を描いている。
  • 長い話し合いの末、二人は続いていた三角関係を解消し、それぞれ別の道を選んだ。

「三角関係」の類似表現

三角恋愛(さんかくれんあい)

意味はほぼ同じです。

日本では1920年代前半に新聞記事の見出しなどで「三角恋愛」も使われましたが、現在は「三角関係」のほうが一般的です。

「三角関係」の古い用例

森鴎外が森林太郎の名で発表した史伝「椙原品」は、1916年1月に『東京日日新聞』『大阪毎日新聞』へ連載されました。

1月7日の回には、

「此三角関係の間に静中の動を成り立たせようと思つた」

とあります。

ここで「三角関係」と呼ばれているのは、伊達綱宗、正妻の初子、妾の椙原品という三者の関係です。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「三角関係」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「三角関係」項。
  • 清地ゆき子「恋愛用語「三角関係」と“三角恋愛”の成立と定着―1920年代の日中語彙交流の視点から―」『日本語の研究』第6巻第2号、2010年、46~61頁。
  • 森鴎外「椙原品」『鴎外歴史文学集 第三巻』岩波書店、1999年。
ABOUT ME
北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。