不労所得
読み方:ふろうしょとく
「不労所得」の意味
「不労所得」とは、働かないで得る所得のことです。
利子、配当金、家賃、地代などが代表的なものとして挙げられます。
「不労所得」の語源・由来
「不労所得」は、中国古典の故事や成句から生まれた言葉ではなく、「不労」と「所得」を組み合わせた近代的な経済・社会用語です。
「不労」は勤労しないことをいい、「所得」は古くから日本語にありますが、勤労・事業・資産などから得る収入という経済上の意味でも明治期には使われていました。
現在の「不労所得」という四字の形を誰が最初に作ったのかは明らかではありません。
「不労所得」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「不労所得を得る」
利子や配当などから所得を得ることについて使います。「資産運用で不労所得を得る」などの形です。 - 「不労所得で暮らす」
生活費をその所得でまかなう場合に使います。「不労所得で生活する」ともいいます。 - 「不労所得がある」
給与などとは別に、そのような所得を持っていることを述べます。「毎月の不労所得がある」などと使います。
「不労所得」の例文
- 祖父から受け継いだ賃貸物件の家賃が、彼の大きな不労所得になっています。
- 定年後は、預金の利子や株式の配当による不労所得で生活費の一部をまかなっています。
- 給与だけに頼らず、将来は投資から得られる不労所得も家計に組み込みたいと考えています。
「不労所得」の類似表現
財産所得(ざいさんしょとく)
金銭・有価証券・土地・建物などの財産を所有・運用することで生じる所得です。
利子、配当、賃貸料など対象は大きく重なりますが、「財産所得」は資産から生じることを基準にした表現です。
「不労所得」の古い用例
与謝野晶子の「婦人改造の基礎的考察」には、
「不労所得に由って衣食する階級」
とあります。
この文章は『改造』1919年(大正8年)4月に発表され、同年刊行の『激動の中を行く』にも収められました。
文中では「労働の報酬」によって生活する階級と対照させており、大正期にはすでに社会・経済を論じる言葉として「不労所得」が使われていたことが分かります。
「不労所得」の間違いやすい使い方・表記
「不労所得」は、所得税法上の所得区分の名称ではありません。
所得税法では所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得など10種類に分けています。
そのため、税務上は「不労所得」として一括して扱うのではなく、実際に所得が生じた方法に応じて区分します。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「不労所得」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「不労所得」「所得」項。
- 与謝野晶子「婦人改造の基礎的考察」『与謝野晶子評論集』岩波書店、1985年。初出『改造』1919年4月。
- 国税庁「所得の種類と課税方法」。
- 『所得税法』。
