利害得失
読み方:りがいとくしつ
「利害得失」の意味
「利害得失」とは、利益と損失、得るものと失うものを合わせて指す言葉です。
必ず得と損の両方が生じると断定する語ではなく、判断するときに考えるプラス面とマイナス面をまとめて指すこともあります。
「利害得失」の語源・由来
「利害」と「得失」という、どちらも損得に関係する二語を重ねてできた表現です。
北宋の蘇軾の文章「魏武帝論」には
「知天下利害得失之計」
とあり、「利害得失」という四字の並び自体は中国の古い文献にも見られます。
ただし、「魏武帝論」の一節が日本語の四字熟語「利害得失」の直接の出典であるとまでは確認できません。
特定の故事を四字にまとめた故事成語というより、「利害」と「得失」を組み合わせた語として捉えるのが適切です。
「利害得失」の使い方
次のような形で使われます。
- 「〜の利害得失」
前に検討する対象を置きます。「制度変更の利害得失」「二つの案の利害得失」などの形です。 - 「利害得失を〜」
後ろに「考える」「検討する」「比較する」などを続けます。「利害得失を検討する」のように使います。 - 「利害得失にとらわれる」
「個人の」「目先の」などを前に置き、自分にとっての損得にこだわる場面で使われます。
「利害得失」の例文
- 新しい制度を導入する前に、費用や現場への影響も含めて利害得失を検討した。
- 彼は自分の利害得失にとらわれず、地域全体に必要な計画を支持した。
- 二つの進路について利害得失を比べた結果、より長く学べる学校を選んだ。
「利害得失」の類似表現
一得一失(いっとくいっしつ)
一方で利益があると同時に、他方では損失もあることを表します。
「利害得失」が得と損を検討する対象としてまとめて指せるのに対し、「一得一失」は、ある物事に良い面と悪い面がともに存在することを述べる場合に適しています。
「利害得失」の古い用例
嘉永6年(1853)、ペリー来航後に幕府が諸侯へ意見を求めた文書には、
「一體之利害得失」
という形が見られます。
通商を認めるかどうかについて、将来まで見通して得失を考えるよう求める文脈で使われており、少なくとも幕末には現在と同じ「利害得失」の四字形が公的な文書で用いられていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「利害得失」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「利害得失」項。
- 蘇軾『東坡全集』「魏武帝論」。
- 菅野和太郎「諸侯と外國貿易」『彦根高商論叢』第11号、1932年、37~66頁。
