贅沢三昧
読み方:ぜいたくざんまい
「贅沢三昧」の意味
「贅沢三昧」とは、思うままに贅沢をし、ぜいたくな生活や行動にふけることです。
一度だけ高価な物を買ったり豪華な食事をしたりする場合より、贅沢を好きなだけ重ねている様子を表すのに適しています。
「贅沢三昧」の語源・由来
「贅沢三昧」は、中国古典にある同じ四字の句をそのまま取り入れたものとは確認できません。
「贅沢」という日本語に、接尾語として使われる「三昧(ざんまい)」が付いてできた表現です。
「三昧」は、もとはサンスクリット語を音写した仏教語で、「三摩提」「三摩地」などとも書かれました。
仏教では、雑念を離れ、心を一つの対象へ集中させた状態をいいます。
日本では近世になると、この仏教的な意味から離れ、「あることばかりをする」「心のままにする」という意味でも使われるようになり、名詞の後では「ざんまい」と濁る形が広まりました。
1620年ごろの『古活字本荘子抄』には「弓矢三昧」という用例があります。
一方、「贅沢」は江戸時代にはすでに使われており、1780年の洒落本『一騎夜行』に「ぜいたく」の用例があります。
「贅沢」と、心のままにする意味へ広がった「三昧」とが結び付いて「贅沢三昧」となったものですが、この四字の形を最初に作った人物や正確な成立時期は明らかではありません。
「贅沢三昧」の使い方
次のような形で使われます。
- 「贅沢三昧の〜」
後ろに「暮らし」「生活」「日々」などを続けます。「贅沢三昧の暮らし」のように使います。 - 「贅沢三昧に〜」
後ろに「暮らす」「過ごす」などの動作を続けます。「贅沢三昧に暮らす」などの形です。 - 「贅沢三昧をする」
贅沢にふけることを一つの行動として述べるときに使います。
「贅沢三昧」の例文
- 彼は事業で成功したあと、高級ホテルを渡り歩く贅沢三昧の生活を始めました。
- 相続した財産を頼りに贅沢三昧に暮らしていたため、数年後には貯金がほとんど残っていませんでした。
- 記念旅行では宿も食事も予算を惜しまず、二日間だけ贅沢三昧をすることにしました。
「贅沢三昧」の類似表現
栄耀栄華(えいようえいが)
富や地位を得て華やかに栄えることをいい、贅沢を尽くす意味でも使われます。
「贅沢三昧」が実際に贅沢をする暮らしや行動に使いやすいのに対し、「栄耀栄華」は人や家が富や権力を得て栄えていることまで表せます。
酒池肉林(しゅちにくりん)
酒や食べ物をふんだんに用意した豪華な酒宴を指します。
「贅沢三昧」は住居、衣服、旅行、買い物など幅広い贅沢に使えますが、「酒池肉林」は特に宴会や享楽に結び付いた表現です。
「贅沢三昧」の古い用例
1897年の坪内逍遙『沓手鳥孤城落月』第三幕には、
「刑人の贅沢三昧」
という形が見られます。
「贅沢三昧」に「ゼイタクざんマイ」と読みが示されており、明治30年には現在と同じ四字と読み方が使われていました。
夏目漱石の『明暗』(1916年)では、
「贅沢三昧わがまま三昧に育った人」
という形で使われています。
「贅沢三昧」に続けて「わがまま三昧」を並べ、「〜三昧」を繰り返して人物の育った環境を表す用例です。
「贅沢三昧」の間違いやすい使い方・表記
「三昧」の最後の字は「昧」です。「贅沢三味」のように「味」と書くのは誤りです。
また、仏教語として単独でいう「三昧」は「さんまい」と読みますが、「贅沢三昧」では「ぜいたくざんまい」と読みます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「贅沢三昧」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「贅沢三昧」「贅沢」「三昧」項。
- 夏目漱石『明暗』1916年。
- 国立国会図書館『桐一葉・沓手鳥孤城落月』書誌情報。
