煙散霧消
読み方:えんさんむしょう
「煙散霧消」の意味
物事が跡形もなく消えてなくなることです。
計画や考え、疑念など、形のないものが消える場合にも使われます。
「煙散霧消」の使い方
次のような形で使われます。
- 「〜が煙散霧消する」
前には「計画」「構想」「見込み」などを置きます。 - 「煙散霧消して〜」
「〜して」の形にして、後ろに結果や次の展開を続けます。「煙散霧消して、別案の検討に移る」などの形です。
「煙散霧消」の例文
- 長年温めてきた新規事業の構想は、出資者の撤退によって煙散霧消した。
- 追加資料が公開されると、彼に向けられていた疑念は煙散霧消し、調査は別の論点へ移った。
- 一時は実現間近と報じられた合併案も、経営方針の変更で煙散霧消してしまった。
「煙散霧消」の類似表現
雲散霧消(うんさんむしょう)
意味はほぼ同じです。
「雲散霧消」は「うんさんむしょう」と読み、「煙散霧消」の「煙」を「雲」に替えた別の四字熟語です。
「煙散霧消」を構成する言葉の意味
煙散(えんさん)
「煙散」は「烟散」とも書き、煙が風に吹き散らされるように消えることを表す古い漢語です。
南朝梁の孝元帝(梁元帝)蕭繹「詠霧詩」には「乍若軽煙散」とあります。
ここにあるのは「煙散」の古い語例で、「煙散霧消」という四字形そのものではありません。
霧消(むしょう)
「霧消」は、霧が消えるようにすっかり消え去ることです。
尾崎紅葉『二人女房』(1891~1892年)には、「霧消」が単独で使われた日本語の用例があります。
「煙散霧消」の古い用例
1900(明治33)年9月の『歴史地理』第2巻第6号「彙報及評論」欄には、筆名「麻郷」による
「國家の至寶は煙散霧消する」
という用例があります。
ここでは「煙散霧消する」と「する」を伴って使われており、少なくとも明治33年には四字形そのものが日本語文献に現れていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「煙散霧消」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「煙散」「霧消」項。
- 徐堅等撰『初学記』巻二「天部下」所収、梁孝元帝「詠霧詩」。
- 吉田鋼市「新薬師寺の明治修理に関する保存論争と『水谷仙次』」『日本建築学会計画系論文集』第620号、2007年、229~234頁。
