福利厚生
読み方:ふくりこうせい
「福利厚生」の意味
福利厚生とは、人の暮らしを健康で豊かなものにすることです。
特に企業や団体について使う場合は、従業員の生活や健康を支えるために設ける制度・施設・サービスなどを指します。
「福利厚生」の語源・由来
「福利厚生」は、中国古典の故事からそのまま生まれた四字熟語ではなく、近代日本の労働・社会政策の中で定着した言葉です。
明治期には、企業が労働者のために設ける寄宿舎、医療、教育、共済などが「慈恵的施設」と呼ばれていました。
工場法が施行された大正期以降は「福利施設」という呼び方が広がり、戦時期には行政の関与が強まる中で「厚生施設」や「福利厚生施設」という名称が使われるようになります。
現在の四字の形がいつ最初に作られたかは明確ではありませんが、昭和16年(1941)には「福利厚生施設」という形が公的な議論の中に現れています。
「福利厚生」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「福利厚生が充実している」
会社などの制度やサービスが整っていることを述べます。「福利厚生が充実している会社」などの形です。 - 「福利厚生を充実させる」
制度や支援の内容を増やしたり、改善したりするときに使います。「社員向けの福利厚生を充実させる」などと続けます。 - 「福利厚生制度」
従業員を支える仕組みをまとめて指します。「福利厚生制度を見直す」などと使います。 - 「福利厚生の一環として〜」
ある取り組みが福利厚生に含まれることを示します。「福利厚生の一環として食事補助を行う」などの形です。
「福利厚生」の例文
- 就職先を選ぶときは、給与だけでなく福利厚生の内容も確認した。
- 会社では育児や介護を支援するため、福利厚生をさらに充実させている。
- 社員食堂の利用補助は、福利厚生の一環として導入された。
「福利厚生」の類似表現
社会保障(しゃかいほしょう)
病気、老齢、失業などに備えて国や社会全体で生活を支える仕組みを指す言葉です。
「福利厚生」は企業などが従業員に提供する制度や支援について使うことが多く、主体となる範囲が異なります。
「福利厚生」の古い用例
昭和16年(1941)2月5日の第76回帝国議会衆議院「国家総動員法中改正法律案委員会」では、
「從業者ニ對スル福利厚生施設」「工場事業場ニ於ケル勞務者ノ福利厚生施設」
という表現が使われています。
当時は「福利厚生」だけで独立させるより、「福利厚生施設」として、栄養、体育、運動場など労働者の生活や健康にかかわる設備・取り組みをまとめる形で用いられていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「福利厚生」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 榎一江「福利厚生の起源」『日本労働研究雑誌』No.780、労働政策研究・研修機構、2025年、4~13頁。
- 『第76回帝国議会 衆議院 国家総動員法中改正法律案委員会 第4号』昭和16年(1941)2月5日。
