掃いて捨てるほど
読み方:はいてすてるほど
「掃いて捨てるほど」の意味
非常に多く、あり余るほどあることをたとえていう表現です。
人や物について使うと、単に数が多いだけでなく、「珍しくない」「いくらでも代わりがある」といった軽視の気持ちを含むことがあります。
「掃いて捨てるほど」の語源・由来
ごみやちりを掃き集め、そのまま捨てられるほど多い、という発想から生まれたたとえです。
「掃く」は、ほうきなどを使ってごみを集めることをいいます。
捨てても困らないほど大量にある様子になぞらえて、あり余るほど多いことをいう表現になりました。
「掃いて捨てるほど」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は掃いて捨てるほどいる」
人など、数えられる存在が非常に多いことをいう形です。「その程度の腕の人は掃いて捨てるほどいる」「希望者は掃いて捨てるほどいる」などと使います。 - 「〜は掃いて捨てるほどある」
物、情報、話、機会などが多くある場合に使います。「似た商品は掃いて捨てるほどある」「そんな話は掃いて捨てるほどある」などの形です。 - 「〜なら掃いて捨てるほどいる・ある」
「その種類のものなら珍しくない」という言い方です。「資格を持つ人なら掃いて捨てるほどいる」「同じような案なら掃いて捨てるほどある」などと使います。
「掃いて捨てるほど」の例文
- その資格を持っている人なら、都会には掃いて捨てるほどいる。
- 似たような企画はすでに掃いて捨てるほどあるので、もっと独自性が必要だ。
- 自分だけの発想だと思っていたが、調べてみると同じような作品が掃いて捨てるほど見つかった。
「掃いて捨てるほど」の類似表現
腐るほど(くさるほど)
使い切れずに腐らせてしまうほど、たくさんあることをいい、「金が腐るほどある」「食料が腐るほどある」など、物の豊富さを強調する場合にも使えます。
「掃いて捨てるほど」は、人や物がありふれていて珍しくないという含みを持たせやすいのに対し、「腐るほど」は、使い切れないほど量が多いことを強調できます。
売るほど(うるほど)
売り物にできるほど数が多い、というたとえです。
「時計なら売るほど持っている」など、主に物について使われます。
「掃いて捨てるほど」ほど相手や対象を軽く見る響きは強くなく、たくさん持っていることをやや大げさにいう場合にも使えます。
「掃いて捨てるほど」の古い用例
1922年初出の作品、有島武郎の戯曲『ドモ又の死』には、「掃いて捨てるほど」の記述があります。
作中では、とも子が花田の将来について語る場面で、「学問のできる美しい方が掃いて捨てるほど集まってきて」と述べています。
ここでは「ある」「いる」ではなく、「掃いて捨てるほど」が「集まってきて」を修飾しています。
1922年には、現在と同じく、人が非常に多いことを表す比喩として使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「掃いて捨てるほど」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 『ルーツでなるほど慣用句辞典』「掃いて捨てるほど」。
- 青空文庫「ドモ又の死」(有島武郎)。
- 村中淑子「外来語の色彩語について―『青空文庫』パッケージを用いて―」『人間文化研究』第3号、桃山学院大学総合研究所、2015年。
