目が利く
読み方:めがきく
「目が利く」の意味
物のよしあしや価値、本物か偽物かなどを見分ける力がすぐれていることです。
美術品、骨董品、食材など、経験や知識にもとづく判断力について使われます。
「監督が行き届く」という意味も辞書にはありますが、現代では、物を見る力や鑑識力について使われることが多いです。
「目が利く」の語源・由来
「目」は、視覚器官そのものだけでなく、物の価値や性質を見分ける力を表すようになりました。
「利く」には、持っている能力や働きが十分に発揮されるという意味があります。
文化庁の漢字の使い分け例でも、「十分に働く」という意味の「利く」の例として「目が利く」が挙げられています。
この二つが結びつき、物を見る能力が十分に働いて、価値や良否を見分けられることを表す慣用句になっています。
「目が利く」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に目が利く」
「〜」には、よしあしや価値を判断する対象や分野が入ります。「骨董品に目が利く」「魚に目が利く」などの形です。 - 「目が利く人」
見分ける能力を持つ人について述べる形です。「目が利く職人」「目が利く買い手」などと使います。 - 「目の利く〜」
「目が利く」が名詞を修飾するときには、「が」が「の」に替わる形もよく使われます。「目の利く鑑定家」「目の利く店主」などの形です。 - 「〜には目が利かない」
ある分野について見分ける自信や能力がないことを表す否定形です。「宝石には目が利かない」「古書には目が利かない」などと使います。
「目が利く」の例文
- 毎朝市場へ通っている料理長は魚に目が利くので、その日の状態に合わせて仕入れる品を決めています。
- この絵を買うなら、古美術に目の利く人にも一度見てもらったほうがよいでしょう。
- 私はカメラには詳しいのですが、アンティーク家具にはあまり目が利きません。
「目が利く」の類似表現
目が高い(めがたかい)
「目が利く」と意味が近く、多くの場面で言い換えられます。
「目が高い」は、よい物を選んだ人に対して「これを選ぶとは目が高い」のように、相手の選択や鑑識力をほめるときにもよく使われます。
目が肥える(めがこえる)
よい物や多くの物を見た経験によって、価値を見分ける力が高まることです。
「長年展覧会に通って目が肥えた」のように、経験を重ねて鑑識力が育つ過程を表せます。
「目が利く」の古い用例
1430年の『申楽談儀』には、「それは、こなたが目がきかぬ也」という記述があります。
「目が利く」の否定形に当たる「目がきかぬ」が、室町時代前期にはすでに使われていました。
「目が利く」の間違いやすい表記
「きく」は「効く」ではなく「利く」と書きます。
「利く」は能力や機能が十分に働く場合に使い、「目が利く」「機転が利く」などと表記し、「効く」は「薬が効く」のように、効果や効能が現れる場合に使います。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「目が利く」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「目が利く」「利く」項。
- 文化庁文化審議会国語分科会『「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)』2014年。
