見栄を張る
読み方:みえをはる
「見栄を張る」の意味
人によく見られようとして、実際以上に自分の外見や生活ぶり、能力などをよく見せようとすることです。
うわべや体裁を取り繕うという、やや否定的な意味で使われます。
「見栄を張る」の語源・由来
「見栄」の「みえ」は、「見える」を「~ます。」につなげる言い方にした「見え」のことで、「見栄」という漢字は当て字です。
もとは見た目や外観を指し、そこから人の目を意識して、実際以上によく見せようとする態度も表すようになりました。
「張る」は、「虚勢を張る」「意地を張る」などと同じく、態度を外に示す言葉と結びつく使われ方があり、「見栄を張る」も、この「張る」を用いた表現です。
「見栄を張る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の前で見栄を張る」
誰に自分をよく見せようとするのかを、「〜の前で」で示します。「友人の前で見栄を張る」「恋人の前で見栄を張る」などの形です。 - 「〜して見栄を張る」
どのような行動で体裁をよく見せるのかを前に置きます。「高級品を買って見栄を張る」「知ったかぶりをして見栄を張る」などと使います。 - 「見栄を張って〜」
見栄を張った結果として行うことを後ろに続けます。「見栄を張って高い店を予約する」「見栄を張ってできると言う」などの形です。 - 「見栄を張らずに〜」
否定形では、体裁を取り繕わないことを表します。「見栄を張らずに相談する」「見栄を張らずに暮らす」などと使います。
「見栄を張る」の例文
- 彼は同級生に裕福だと思われたくて、無理をして高級車を買い、見栄を張っていた。
- 知らないことまで知っているふりをして見栄を張るより、素直に質問したほうが勉強になる。
- 収入が減ったのだから、もう見栄を張らずに、身の丈に合った生活をしよう。
「見栄を張る」の類似表現
虚勢を張る(きょせいをはる)
自分の弱さや自信のなさを隠し、強そうに振る舞う場合に使います。
「見栄を張る」はお金、持ち物、知識、暮らしぶりなどを実際以上によく見せる場合にも使えるため、対象の範囲が広い表現です。
背伸びをする(せのびをする)
自分の実力や立場を超えて、無理に大人びたり能力があるように振る舞ったりする場合に使われます。
「見栄を張る」ほど、人からどう見られるかを意識した行為に限られません。
「見栄を張る」の古い用例
樋口一葉の『たけくらべ』には、「山車屋台に町々の見得をはりて」という一節があります。
この作品は、1895年から1896年にかけて『文学界』に発表されました。
町ごとに祭りの山車や屋台を立派に見せようと競う場面で、「みえをはる」が現在とほぼ同じ意味で使われています。
表記は現代で一般的な「見栄」ではなく「見得」です。
「見栄を張る」の間違いやすい使い方・表記
現代では、人によく見られようとうわべを飾る場合は「見栄を張る」と書くのが一般的です。
「見得を切る」の「見得」は、歌舞伎で役者が動きを止めて印象的な姿勢を取る演技を指します。
どちらの「みえ」も「見える」の「~ます。」につなげる連用形に由来し、「見栄」と「見得」はともに当て字ですが、現在は意味によって書き分けられています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「見栄を張る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「見栄を張る」「見え」項。
- 国立国語研究所『基本動詞ハンドブック』「張る」項。
- 樋口一葉『たけくらべ』、初出『文学界』、1895~1896年。
