冷酷非道
読み方:れいこくひどう
「冷酷非道」の意味
「冷酷非道」とは、思いやりがなく、人として守るべき道から外れているほどむごいことです。
人や行為を強く非難するときに使われます。
「冷酷非道」の語源・由来
「冷酷非道」について、特定の中国古典や故事を直接の出典とする説明は、確認した資料には示されていません。
「冷酷」は、思いやりがなくむごいことを表す語です。
「非道」は、人としての道から外れていることをいいます。
この二つを組み合わせ、「冷酷」で情けのなさを、「非道」で人の道に背くほどのひどさを示す形になっています。
現在の四字の形がいつ成立したのかは明確ではありませんが、少なくとも昭和20年代初めの文学作品には使用例があります。
具体的な文献上の用例は後の「古い用例」で扱います。
「冷酷非道」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「冷酷非道な〜」
後ろに人物や態度、行為を表す名詞を続けます。「冷酷非道な支配者」「冷酷非道な仕打ち」などの形です。 - 「冷酷非道に〜」
後ろに行動を続けます。「冷酷非道に扱う」「冷酷非道に切り捨てる」などと使います。 - 「冷酷非道だ」
人物の振る舞いや行為について、強く非難するときに使います。「あのやり方は冷酷非道だ」などの形です。
「冷酷非道」の例文
- 利益のために長年支えてくれた仲間まで見捨てる彼のやり方は、あまりにも冷酷非道だった。
- 捕らえた人々を冷酷非道に扱う権力者に対し、各地から非難の声が上がった。
- 小説には、目的を果たすためなら他人の犠牲を気にも留めない冷酷非道な人物が登場する。
「冷酷非道」の類似表現
冷酷無情
読み方:れいこくむじょう
「冷酷無情」は、思いやりや人間らしい情がないことをいいます。
「非道」のように人の道から外れているという非難よりも、情けや同情心の欠如を前面に出す表現です。
悪逆無道
読み方:あくぎゃくむどう
「悪逆無道」は、道理に背いた非常にひどい悪事や振る舞いに使います。
「冷酷非道」よりも「悪行そのもの」を指す場面に向いており、古くは「悪逆無道」を「あくぎゃくぶとう」と読む例もあります。
「冷酷非道」の古い用例
高見順の『わが胸の底のここには』(1946~48年)には、
「ああ、わが虚栄心の冷酷非道さよ」
という用例があります。
ここでは「冷酷非道さ」と名詞化され、「虚栄心」という抽象的なものの性質を厳しく評する形で用いられています。
昭和20年代初めには、人物そのものだけでなく、人の内面にある感情や性質についても使われていたことが分かります。
「冷酷非道」の間違いやすい使い方・表記
「冷酷非道」は、単に「感情に流されず冷静である」という意味ではありません。
相手への思いやりを欠き、人として許しがたいほどむごいという強い非難を含みます。
感情に左右されず物事を判断することを表したい場合には、「冷静」「冷徹」などと区別する必要があります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「冷酷非道」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
