内政干渉
読み方:ないせいかんしょう
「内政干渉」の意味
「内政干渉」とは、他国の政治・外交などに介入し、その国の主権を束縛・侵害することです。
もともと国家と国家との関係について使う政治・外交上の言葉です。
「内政干渉」の語源・由来
「内政干渉」は、一つの故事や古典の四字句をそのまま受け継いだものではなく、「内政」と「干渉」という二つの語を結びつけた表現です。
明治27年(1894年)8月1日の「清国ニ対スル宣戦ノ詔勅」では、清国の朝鮮に対する行動について
「其ノ內政ニ干涉シ」
と記されています。
ここでは「内政」と「干渉」の間に「ニ」が入り、現在の「内政干渉」という四字の名詞ではありません。
現在の四字形が最初にいつ成立したかは、この資料だけからは決められません。
「内政干渉」の使い方
次のような形で使われます。
- 「〜に内政干渉する」
「〜」には対象となる国などを置きます。「他国に内政干渉する」のように使います。 - 「内政干渉に当たる」
ある要求や行為が内政干渉に該当するかどうかを述べる形です。「その要求は内政干渉に当たる」などと続けます。 - 「内政干渉だ」
外国からの働きかけを批判するときに使います。「それは内政干渉だ」のような形です。
「内政干渉」の例文
- 外国政府が選挙制度の変更を強制しようとしたため、その国は内政干渉に当たるとして抗議しました。
- 経済力を背景に相手国へ政策変更を迫る行為は、内政干渉だと批判されました。
- 両国は、互いの国内政治に内政干渉することなく、主権を尊重する方針を確認しました。
「内政干渉」の類似表現
主権侵害(しゅけんしんがい)
「主権侵害」は、領土や領空などへの侵害も含めて使える、範囲の広い言葉です。
「内政干渉」は、その中でも他国が国内の政治などへ介入する行為について使われます。
「内政干渉」を構成する言葉の意味
内政
「内政」は古くからある漢語です。中国古典の『国語』「斉語」には、
作內政而寄軍令焉
という句があり、韋昭の注では「內政,國政也」と説明されています。
ここでの「内政」は国の政治・政務という意味で、現代の国際関係でいう「外国に対する国内事項」という意味に限定された言葉ではありません。
干渉
『後漢書』「東夷列伝」には、山や川の区域について、
不得妄相干涉
とあります。
「勝手に互いの区域へ立ち入ってはならない」という趣旨で、「干涉」が互いの領域にかかわる意味で使われています。
日本語では明治22年(1889年)の島田三郎『条約改正論』に、外国が人事へ口を出すことについて
「何に依て其任命に干渉するを得ん」
とあり、この時期には「干渉」が国際政治の場面でも使われていました。
「内政干渉」の古い用例
明治29年(1896年)8月19日、駐韓日本公使の原敬が外務大臣西園寺公望へ送った「朝鮮ノ現況及將來ノ傾向ニ付上申」には、
一兩年來內政干涉ノ反動ト
という記述があります。
「內政干涉」は現在の「内政干渉」に当たる旧字体の表記で、「內政干涉ノ反動」と名詞として使われています。
少なくとも明治20年代末には、四字のまとまりが日本語の外交文書で用いられていたことが分かります。
「内政干渉」の間違いやすい使い方・表記
国際法上の「内政干渉」を厳密に考える場合、外国が意見や批判を述べただけで直ちに該当するわけではありません。
他国が自由に決定できる事項へ立ち入り、強制的に自国の意思へ従わせようとすることが重要な要素とされています。
家庭や職場のことへ口を出す人に対して「内政干渉だ」と言うこともありますが、これは国家間の用語を日常生活へたとえて使った表現です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「内政干渉」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「内政干渉」「干渉」項。
- 『国語』巻六「斉語」。
- 范曄『後漢書』「東夷列伝」。
- 島田三郎『条約改正論』、1889年。
- 「清国ニ対スル宣戦ノ詔勅」、1894年8月1日。
- 原敬「朝鮮ノ現況及將來ノ傾向ニ付上申」『駐韓日本公使館記録』9巻、1896年8月19日。
- 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』「内政不干渉の原則」項。
