離合集散
読み方:りごうしゅうさん
「離合集散」の意味
「離合集散」とは、人や組織などが、集まったり離れたりすることです。
「離合集散」の語源・由来
「離合集散」は、「離合」と「集散」という、いずれも離れることと集まることを含む二語を重ねた形です。
中国では、明代の何良臣が著した兵書『陣紀』巻一「節制」に
「離合聚散、不失行伍」
とあり、軍勢が分かれたり集まったりしても隊列を乱さないことを述べています。
『陣紀』には1589年の刊本が伝わっており、「離合聚散」という現在の異表記と同じ四字の並びが、遅くとも明代には使われていたことが分かります。
ただし、日本語の「離合集散」が『陣紀』のこの句を直接の典拠として成立したことを示す資料は確認されていません。
「集」を用いる現在の表記がいつ成立・定着したかも明確ではありません。
「離合集散」の使い方
次のような形で使われます。
- 「離合集散する」
人や団体、勢力などが分かれたり結びついたりする動きを述べます。「複数の派閥が離合集散する」などの形です。 - 「離合集散を繰り返す」
集合と分離が何度も起こる場合に使います。「各勢力が離合集散を繰り返す」などと続けます。 - 「〜の離合集散」
前に対象を置きます。「政党の離合集散」「企業の離合集散」などの形です。 - 「離合集散が激しい」
集まり方や分かれ方の変化が頻繁な場合に使います。「業界の離合集散が激しい」などと表現します。
「離合集散」の例文
- 選挙を前に新党の結成や解党が相次ぎ、議員たちは離合集散を繰り返した。
- 技術革新の速いこの業界では、企業の離合集散が激しく、数年前とは勢力図が大きく変わっている。
- 戦国期には、大名たちが情勢に応じて離合集散し、同盟関係をたびたび変えました。
「離合集散」の類似表現
集散離合(しゅうさんりごう)
「離合集散」と語の順序を入れ替えた表現で、意味はほぼ同じです。
多くの場面で言い換えられます。
雲集霧散(うんしゅうむさん)
多くのものが雲のように集まり、霧のように散ることをいいます。
「離合集散」よりも、たくさんのものが集まっては散っていく様子を視覚的なたとえで表す点に特徴があります。
「離合集散」の古い用例
日本語では少なくとも1886年(明治19年)の徳富蘇峰『将来之日本』に、
「百貨の離合集散するゆえん」
という用例があります。
ここでは人間関係ではなく、さまざまな商品が交通・流通の仕組みによって集まり、各地へ分かれていく動きを「離合集散する」と表しています。
1908年(明治41年)に『東京朝日新聞』で連載された夏目漱石『三四郎』には、
「離合聚散、共に自由にならない」
とあります。
「集」ではなく「聚」を使った表記で、男女の結びつきや別れを話題とする場面に用いられています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「離合集散」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「離合集散」項。
- 何良臣『陣紀』巻一「節制」(明代)。
- 徳富猪一郎(蘇峰)『将来之日本』経済雑誌社、1886年。
- 夏目漱石『三四郎』、『東京朝日新聞』、1908年9月1日~12月29日。
