雲泥万里
読み方:うんでいばんり
「雲泥万里」の意味
「雲泥万里」とは、物事や人物の間に、天と地ほどの非常に大きな差があることをたとえた四字熟語です。
能力、品質、境遇、内容などを比べ、隔たりがはなはだしい場合に使います。
「雲泥万里」の語源・由来
「雲泥」という比喩の古い背景には、中国の『後漢書』「矯慎伝」に記された呉蒼の手紙があります。
そこには、
雖乘雲行泥、棲宿不同
とあり、「雲に乗ること」と「泥を行くこと」を対置して、置かれた境遇が異なることを表しています。
ただし、『後漢書』の原文に「雲泥万里」という四字の並びはありません。
中国古典で「雲泥万里」が一つの成句として用いられていたかは明らかでなく、現在の四字形がいつ、どのように成立したのかも確定していません。
「雲泥万里」の使い方
次のような形で使われます。
- 「AとBでは雲泥万里だ」
二つのものを直接比べる形です。 - 「雲泥万里の差」
後ろに「差」を続けます。「実力には雲泥万里の差」のように使います。 - 「雲泥万里の隔たり」
二つの立場や程度などが大きく離れていることを述べる形です。
「雲泥万里」の例文
- 同じ材料を使っていても、熟練した職人と初心者では仕上がりが雲泥万里だ。
- 旧型の機器と最新機種では、処理速度に雲泥万里の差がある。
- 両社の提案は表面上よく似ているが、実現可能性には雲泥万里の隔たりがあった。
「雲泥万里」の古い用例
藤原公任が撰した『和漢朗詠集』(1018年ごろ)巻下「慶賀」には、橘正通の句として、
花月一窓交昔眤。雲泥万里眼今窮。
とあります。
現在と同じ「雲泥万里」の四字形がすでに見え、かつて親しく交わった相手との身分・境遇の大きな隔たりを詠んでいます。
『太平記』巻第三十九では、
「雲泥万里の隔其中に有りと云つべし」
と記され、「雲泥万里の隔」という形で二つの行為を比較しています。
中世には、後ろに「隔」を続ける用法が見られたことが分かります。
江戸後期の滑稽本『浮世風呂』(1809~1813年)には、
「雲泥万里」に「ウッテンバッテン」
という読みを添えた例があります。
「うんでいばんり」から変化した読みが話し言葉で用いられていたことを示す例です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「雲泥万里」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「雲泥万里」項。
- 范曄『後漢書』巻八十三「逸民列伝第七十三・矯慎伝」。
- 藤原公任撰『和漢朗詠集』巻下「慶賀」。
- 『太平記』巻第三十九。
