平穏無事
読み方:へいおんぶじ
「平穏無事」の意味
穏やかで、これといった変わったこともなく、安らかなことです。
暮らしや日々だけでなく、家庭や社会などに大きな問題が起きていない状態についても使います。
「平穏無事」の語源・由来
「平穏」と「無事」という、意味の近い二つの言葉を重ねてできた表現です。
「平穏」は静かで穏やかなこと、「無事」は取り立てて変わったことがないことを指し、二語を組み合わせることで意味を強めています。
特定の故事をもとにした四字熟語ではありません。
「平穏無事」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「平穏無事な〜」
後ろに「日々」「生活」「暮らし」などを続けます。「平穏無事な毎日」「平穏無事な生活」などの形です。 - 「平穏無事に〜」
後ろに暮らしや時間の経過を表す動詞を続けます。「平穏無事に暮らす」「平穏無事に過ごす」などと使います。 - 「〜の平穏無事を祈る/願う」
家族や地域などに何事も起こらないことを願う場合に使います。「一家の平穏無事を祈る」「地域の平穏無事を願う」などの形です。
「平穏無事」の例文
- 大きな災害もなく、村では一年を平穏無事に終えることができました。
- 長かった騒動が収まり、ようやく平穏無事な暮らしが戻ってきました。
- 神社では、住民たちが町の平穏無事を願って手を合わせました。
「平穏無事」の類似表現
安穏無事(あんのんぶじ)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「安穏無事」は「世の中や暮らしが安らかで穏やかである」という文脈でも使われます。
無病息災(むびょうそくさい)
「無病息災」は、病気をせず健康であることを指します。
人の健康を願う場合には「無病息災」、事件や心配事のない穏やかな生活を述べる場合には「平穏無事」と使い分けられます。
「平穏無事」の古い用例
田口卯吉の「言論文章果して幾何の勢力あるや」(1888年)には、
「平穏無事の事のみならんには」
とあります。
この用例では「平穏無事」の後ろに「の事」を続け、特に異変のない事柄を指す形で使われています。
明治21年には現在と同じ四字の表記が文章中で用いられていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「平穏無事」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「平穏無事」項。
- 田口卯吉「言論文章果して幾何の勢力あるや」1888年。
