変幻自在
読み方:へんげんじざい
「変幻自在」の意味
「変幻自在」とは、思いのままに姿や形を変えたり、現れたり消えたりすることです。
実際の姿の変化だけでなく、演技、表現、戦い方、話術などが一つの形に固定されず、自在に変わる様子にも使われます。
「変幻自在」の語源・由来
「変幻自在」は、「変幻」と「自在」を組み合わせた形です。
「変幻」は、姿を現したかと思うと消えたり、すばやく変化したりすることをいいます。
日本語では『浜松中納言物語』(11世紀中頃)に「へんげん」の用例があります。
「自在」は、束縛や妨げがなく、思いのままであることを表す語です。
仏教でも、仏や菩薩が思いのままに働く力を表す語として使われ、日本では『三宝絵』(984年)に用例があります。
この二つが現在の「変幻自在」という四字の形としていつ成立したかは明確ではありません。
「変幻自在」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「変幻自在な〜」
後ろに「演技」「動き」「攻撃」「作風」などを続けます。「変幻自在な演技」「変幻自在な攻撃」などの形です。 - 「変幻自在に〜」
後ろに動作を続けます。「変幻自在に攻める」「変幻自在に声色を操る」などと使います。 - 「変幻自在の〜」
後ろに能力や技などを表す語を続けます。「変幻自在の話術」「変幻自在の技」などの形です。
「変幻自在」の例文
- 彼女は役柄に合わせて声や表情を変える、変幻自在な演技を見せました。
- 相手の守備に応じて攻め方を次々と変える変幻自在の戦術に、最後まで対応できませんでした。
- その作家は時代小説から幻想小説まで、作風を変幻自在に変えて読者を驚かせています。
「変幻自在」の類似表現
変幻出没(へんげんしゅつぼつ)
姿を自在に変えながら、現れたり隠れたりすることをいいます。
「変幻出没する」のように、出没する行動そのものを述べる形でも使われます。
千変万化(せんぺんばんか)
物事がさまざまに変化し続けることを表します。
「千変万化」は変化の種類や多さをいう場合に適しており、誰かが思いのままに変化させるという意味を必ずしも含みません。
「変幻自在」の古い用例
吉川英治の『鳴門秘帖』には、
「変幻自在な忍びの技」
という形が使われています。
作品は『大阪毎日新聞』で1926年(大正15年)8月11日から1927年(昭和2年)10月14日まで連載されました。
この例では、「な」を伴って「忍びの技」を修飾しています。
江戸川乱歩の『魔術師』には、
「変幻自在なる魔術」
とあります。
同作は1930年(昭和5年)から1931年(昭和6年)にかけて『講談倶楽部』に掲載された作品で、「なる」を使った文章語の形が見られます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「変幻自在」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 吉川英治『鳴門秘帖(一)』吉川英治歴史時代文庫、講談社、1989年。
- 江戸川乱歩『江戸川乱歩全集 第6巻 魔術師』光文社文庫、光文社、2004年。
