急いでいるときほど、危険な近道に飛びつかず、安全で確実な方法を選ぶ方が、結果的に早く目的を達成できるという教え。
目先では時間がかかるように見えても、失敗や危険、やり直しの少ない確実な方法を選ぶ方が、最終的には早く目的を達成できることを表す。単に「ゆっくり行動する」という意味ではない。
「何事も時間をかければよい」という意味ではない。急いでいる状況だからこそ、危険な近道より確実な方法を選ぶという点が中心。
「急がば回れ」の使い方
目先では時間がかかるように見えても、失敗や危険、やり直しの少ない確実な方法を選ぶ方が、最終的には早く目的を達成できることを表す。単に「ゆっくり行動する」という意味ではない。
急いで結果を出したいものの、確認や基本手順を省くと失敗ややり直しが起こりやすい場面で使う。仕事、勉強、作業、移動など幅広い状況に使える。
「急がば回れ」の例文
急いで提出したいけれど、最後に数字を確認しよう。急がば回れだ。
難しい問題へ進む前に、まず基礎を固めよう。急がば回れだよ。
近道の山道は危険だから、時間がかかっても整備された道を行こう。急がば回れだ。
「急がば回れ」の由来・背景
現在の滋賀県草津市にあった矢橋の渡し船と、大津市の瀬田の長橋を対比した歌がもととされる。舟は近道でも不確実さがあるため、遠回りでも橋を通る方が着実で、結果として早く着けるという考えがことわざになった。
作者は宗長に断定しない。『雲玉和歌抄』の源俊頼説と『醒睡笑』の宗長説を併記する。
現在の滋賀県草津市にあった矢橋の渡し船と、大津市の瀬田の長橋を対比した歌がもととされる。舟は近道でも不確実さがあるため、遠回りでも橋を通る方が着実で、結果として早く着けるという考えがことわざになった。
作者の伝承は資料によって異なる。1514年成立の『雲玉和歌抄』では源俊頼作とされる一方、『醒睡笑』では宗長作として紹介されているため、作者を一人に断定しない。
作者は宗長に断定しない。『雲玉和歌抄』の源俊頼説と『醒睡笑』の宗長説を併記する。
永正11年(1514)成立
古い用例と用法の広がり
『醒睡笑』では「急がば廻れ」を物事に必要な慎重さを表す言葉として説明し、もととなる歌を宗長作として紹介している。現在確認できる古い資料間で歌の作者の伝承が異なる。
確認済みの根拠資料を詳しく見る
資料上の表記:急がば回れ
1896年刊『帝国新読本字引』のOCR全文に「急がば回れ」と「勢多の長橋」が連続して現れ、近代の辞書・教材系資料で現在形と由来歌の結びつきを確認できます。
「急がば回れ」の句と「勢多の長橋」が同一箇所に現れます。OCR由来のため厳密な翻刻には原画像照合が必要です。
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国立国会図書館 PID 868567
NDL OCR・二次資料を用いた確認です。初出・成立年代の断定には用いません。
資料上の表記:急がば回れ
1903年刊『社会主義活弁』では「古語に曰く、急がば回れ」として、社会改良を焦らず着実に進める文脈に使われています。移動の話から一般的な行動原則へ広がった用法を示します。
社会改良を漸進的に進めるべきだという主張の中で「急がば回れ」が引用されています。
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国立国会図書館 PID 1052493
NDL OCR・二次資料を用いた確認です。初出・成立年代の断定には用いません。
資料上の表記:いそがばまはれ
1904年刊『尋常小学校外修身書』に「ことわざに、『いそがばまはれ。』」と明示され、学校教材の中でことわざとして扱われていたことを確認できます。
児童向け修身教材で、ことわざとして「いそがばまはれ」が示されています。
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国立国会図書館 PID 813570
NDL OCR・二次資料を用いた確認です。初出・成立年代の断定には用いません。
資料上の表記:いそがばまはれ
1905年刊『やまとにしき』では、源俊頼の名に続いて「ものゝふのやばせの舟ははやくともいそがばまはれ…」の歌が掲載されています。作者伝承に複数説があることを示す補助資料です。
由来歌の作者を源俊頼とする伝承を確認できます。『醒睡笑』の宗長説とは異なるため、作者は一人に断定しません。
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国立国会図書館 PID 874582
NDL OCR・二次資料を用いた確認です。初出・成立年代の断定には用いません。
国立国語研究所の言語資源ワークショップ発表論文では、コーパスを用いて収集した「文の包摂」の実例として「急がば回れ」作戦・「急がば回れ」精神が掲載されている。ことわざ全体を名詞の前に置く現代的な複合表現・引用的用法の実例として扱う。
本Evidenceは起源・初出の根拠ではなく、現代日本語における用法拡張の確認に限定して使用する。
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論文は「急がば回れ」そのものの語誌研究ではない。コーパス由来の複合表現例として確認できる範囲のみ採用する。
『雲玉和歌抄』では源俊頼の歌、『醒睡笑』では宗長の歌として紹介されることを確認できる。
原資料・書誌を見る ↗「急がば廻れ」を物事に必要な慎重さとして説明し、矢橋の船と瀬田の長橋を詠んだ歌を宗長作として掲載している。
原資料・書誌を見る ↗奥書に「永正十一年四月六日」とあり、1514年成立の資料であることを確認できる。
原資料・書誌を見る ↗表記・言い回しはどう変わってきた?
確認できる別表記・異形:急がば廻れ
歴史の中で意味・使われ方はどう変わった?
現代では移動だけでなく、仕事・勉強・作業などで、近道や省略による失敗を避け、確実な方法を選ぶという意味で広く使われる。
確認状況を明示し、未確認事項を確定情報のように扱わない方針です。
似たことわざとの違い
どちらも、急ぐあまり失敗することを戒めます。ただし「急いては事を仕損ずる」は焦りそのものを戒める表現で、「急がば回れ」は目的を早く達成したいときほど、危険な近道ではなく確実な方法を選ぶことに重点があります。
慎重さを重視する点は共通しますが、「石橋を叩いて渡る」は十分安全そうでも念入りに確認する態度を表します。「急がば回れ」は、速さと確実さを比べた結果として確実な道を選ぶことが中心です。
「最古」と断定せず、現時点で確認できる古い資料・用例として積み上げています。資料間で作者や由来の伝承が異なる場合は、複数説を保持して比較します。
