老骨に鞭打つ
読み方:ろうこつにむちうつ
「老骨に鞭打つ」の意味
年を取って衰えた体を奮い立たせ、無理を押して努力することをいいます。
年齢や体力の衰えを意識しながら、それでも仕事などに励むという意味です。
「老骨」は自分の老いた体をへりくだっていう語でもあるため、自分自身について謙遜を込めて使うことが多い表現です。
「老骨に鞭打つ」の語源・由来
「老骨」は、年を取って衰えた体や老人を指す言葉です。
「鞭打つ」は、もともと鞭で打つことをいいますが、古くから「励ます」「奮い立たせる」という意味でも使われています。
この二つを組み合わせ、老いた体を鞭で励ますかのように自らを奮い立たせることを「老骨に鞭打つ」と表すようになりました。
「老骨に鞭打つ」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「老骨に鞭打って〜する」
後ろには、仕事や役目など、努力して行うことが続きます。「老骨に鞭打って働く」「老骨に鞭打って任務を果たす」などの形です。 - 「老骨に鞭打ち〜する」
「鞭打つ」の連用形を使い、そのまま次の動作につなげる形です。「老骨に鞭打ち執筆を続ける」「老骨に鞭打ち現場に立つ」などと使います。 - 「老骨に鞭打つ思いで〜」
「思いで」を続け、年齢による負担を感じながら取り組む気持ちを表します。「老骨に鞭打つ思いで引き受ける」「老骨に鞭打つ思いで登壇する」などの形です。
「老骨に鞭打つ」の例文
- 若い世代に技術を伝えるため、私はもうしばらく老骨に鞭打って工房に立つつもりです。
- 長年務めた会長職を退く予定だったが、後任が決まるまで老骨に鞭打ち、組織を支えることになった。
- 「これが最後の大仕事だ」と、恩師は老骨に鞭打つ思いで研究資料の整理を続けています。
「老骨に鞭打つ」の古い用例
唐木順三「体源抄由来」(1965年)には、「老先短い老骨に鞭打って書き綴ったもの」という記述が残されています。
自分の残された時間や老いを意識しながら執筆するという文脈で、「老骨に鞭打って」の形が使われています。
1965年には、現在と同じ慣用的な用法が見られます。
なお、「老骨」という語そのものはさらに古く、『吾妻鏡』の元暦二年(1185年)の記事にも用例があります。
この段階では「老骨に鞭打つ」という慣用句ではなく、年老いた身を指す「老骨」の意味で使われています。
「老骨に鞭打つ」の間違いやすい使い方
「老骨」は、老人が自分自身をへりくだっていう場合にも使われる言葉です。
そのため、「私も老骨に鞭打って頑張ります」のように自分について使うことが多いです。
相手に「老骨に鞭打って頑張ってください」などと言うと、相手を「年を取って衰えた人」とこちらから評することになるため、失礼に響くことがあります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「老骨に鞭打つ」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「老骨」「鞭打つ」項。
